大学院

転倒を繰り返している人には運動介入が効果的な話

前回、「退院後に転倒予防のための運動を継続すると、逆に転倒を増やしてしまう」というシドニー大学のSherrington博士の論文を紹介しました。

しかし、今回はそれとは逆の結果を示している論文を紹介します。

ブリティッシュコロンビア大学のLiu-Ambrose博士が2019年に発表した論文です。

この研究では、「転倒予防クリニック」に来院した345人(平均年齢81.6歳)を、自宅エクササイズ群173人、通常群172人に分けて1年間の転倒回数や身体パフォーマンス変化を追っています。

自宅エクササイズ内容は、Otago Exercise Program(pdf)*という筋トレ&バランストレーニングで、Physical Therapist(PT)が患者に合った内容を選びます。んで、半年間はPTが隔週で自宅訪問して内容を調整します。運動頻度はエクササイズ週3回、歩行30分週2回としています。

そしたら、結果はなんと

  • 1年間の総転倒回数は、エクササイズ群236回、通常群366回でエクササイズ群の方が転倒が少なかった!
  • 特に、通常群では転倒を繰り返す人が多かった
  • どちらの群でも身体パフォーマンスははじめと変わらなかった!

となりました。

「エクササイズをした方が転倒が減る!」というのは、直感的にもわかりやすいっすね。

これより、著者らは

転倒を繰り返す人への自宅エクササイズとしてOtago Exercise Programを用いることが支持される。

と言っております。

しかし、著者らが指摘しているように、「今回の患者群以外には効果がないかもしれないし、他の施設では効果が出せないかもしれないため、他の臨床現場でも追試してみる必要がある」とのことでした。

個人的には、運動を行ったのに身体パフォーマンスが上がっていないのが気になりました。しかし、これは他の研究でも同じような結果(身体パフォーマンス上がってないのに転倒が減る)が見られるようです。

また、やはりというべきか、運動のアドヒアランス(納得して自分の意思で行うこと)が63%と低いのも課題ですね・・なかなか運動をしてもらうって難しい。

転倒予防のためには、やはり運動を継続的に行うことが良さそうですね。特に、Otago Exercise Programは良い感じです。自宅運動指導に活用していきたいと思います。

*Otago Exercise Program(pdf):自宅で行う転倒予防トレーニングとしてのエビデンス(科学的根拠)あり。PTがその患者に合わせたプログラムを選ぶ。

Effect of a home-based exercise program on subsequent falls among community-dwelling high-risk older adults after a fall  a romdomized clinical trial